甘い拷問。第一回。夜の映画と経済。

そういえば、ゴールデンウィーク。と言い出したのが、映画業界だった。っていう話知ってる?
「へー。そうなんだ」
なんかね、連休に各映画会社が、特に力を入れた作品を封切りしたの。んで、宣伝のときに黄金週間って言い出したの。それが始まり。
「いいけどさ。少しの間でいいから息しないでくれます?」
うわあ。いつもの右ストレート。ていうかいつもあんたはパンケーキを食べておるね。
「美味しいわけじゃないけど。いろいろさー、話合わせないと会社でハブられるしさー。それで」
大変だよね、会社勤めは。
「・・・お金ほしい」
生っぽいわ。今の。
「・・・黙んな」

で。今年のGW映画ですがね。洋画では「アメイジングスパイダーマン2」。邦画では「相棒 劇場版3」「テルマエ・ロマエ2」といったところですかね。
「全部2とか3なんですね」
他にもあるんでしょうけど。目立つのはこの三本かな。全部続編というのは、ポイントかもしれませんね。
「はあ」
なぜ続編かというと、興行収入が見込めるからですね。固定のファンがいるから。かくいうあたしも「相棒」のファンですんでね。たぶん観に行くと思います。
「それでいいんですか?」
いいと思います。映画の一側面として経済は大事なファクターです。そればっかりになると困るけど。
「というと?」
これはあたしだけだと思いますけどね、似た映画ばっかりになりかねないんですね。経済を重視すると、新しい、当たるかどうかわかんない映画は、企画通らなくなるの。
「そういえば、前に貞子が始球式してました」
あれはなかったなー。パブとは言え。だいたいあの映画。原作小説に貞子出てこないから(笑)。
「そうなの?」
まあ、分かりやすいしね。たぶんね、貞子出るなら金出す。みたいなことがあったんじゃないかね。
「生臭い話だなぁ」
かのクリント・イーストウッドも、ダーティーハリーの新作だったら金出す。って言われまくったらしいけど。
「ふーん。で、クリントなんちゃらって、誰?」

まあ、映画と経済っていうことであれすると、ロジャー・コーマンの存在は切り離せないですね。
「ロジャー・・・?」
コーマンね。あまり連呼すんなよ。
「しないようそんな下品なこと」
なに考えてんだ(笑)。ロジャー・コーマンね。この人は映画のプロデューサーです。この人の映画ってのは、とにかく儲かればいい映画。一回ヒットが出たらその続編・亜流・パクり。それを延々作っている人です。
「ヒット作のパクり?」
ジョーズがウケたら、それっぽい動物パニック。エイリアンがウケたら、それっぽい宇宙ホラー。ジュラシックパークがウケたら、それっぽい恐竜もの。しかも激安の製作費で。
「パチモンじゃないの」
確かに。でも、こういう志の低い映画があるから、今の映画芸術があるのね。「アバター」でお馴染みのジェームス・キャメロンは、駆け出しの頃にコーマンの下で「殺人魚フライングキラー」というのを撮ってます。トビウオとピラニアを足して2で割ったみたいのが、ビキニのお姉ちゃんの喉笛を食い千切ってギャーッ。そんだけの映画。
「下らないなー」
下らないが、そういうので映画の撮り方を勉強できたのね。ハリウッドの今の新人育成がどうなってるか分からないけど。日本のそれよりは恵まれているんじゃないかね。
「あまりdis るもんじゃないよ。そーいうときこそ、テレビ局映画で新人さんを登用すればいいのではないですかね」
そうだねえ。ぜんぜん関係無いけど、パンケーキ冷めてますよ?
「あ。食べる?」
いらないよ。食べさしじゃないの。
「間接キスなのに?」
そういうのでハワハワしなくなったの。大人だからあたし。あー。疲れているのかねあたしは。