殺戮女中の手口。第十一回。

只今の時刻は夜の八時半を少し越えた辺り。本日は金曜日。金曜の夜は花金と言いまして、勤め人がフィーヴァーする日と、この国では伝えられております。今宵はどこのキャバクラで口説こうかと、狩場をセレクトするハンター気取りの男性諸氏、そんな酔客をどのように処理するかを、あたかも地雷処理の任に着いた兵士のように黙考する、夜の蝶の皆様。
ほんのすこし手を止めて頂いて。世界の穢れをクスクス笑いで浄化するお時間でございます。只今オンエア中の音楽は、マイルス・デイヴィスのアルバム「カインド・オブ・ブルー」から、「So What 」。世界で初めて鳴らされた、モードジャズの調べをお楽しみください。

改めて今晩わ。キリングメイド・デラックスですが。
どうも最近体調が優れないんですよ。眠れないし食欲も無くて。まあ、今日はあたし仕事休みだったので、時間もあるからそのうち眠くなるかな、なんて思ってたら、夕方まで眠り倒しまして(笑)。えぇっ! 一日損した! みたいな気持ちでしてね。んでしかも、ふっと、スパゲティミートソースが食べたくなり、近所のスーパーでトマトと挽き肉、あとパスタを買ってきてすぐに作って食べちゃいました。いやーなんか久々に固形物を口にしましたね。ここ二週くらいは酒しか飲んでなかったから。あのままいってたら、吾妻ひでお先生みたいに、精神病院行きだったかなぁ。行ってみたかった気も、少しあるですね。うまいことしたら福祉でメシが食えるぞ! なんてもちろん冗談ですが。
しかしこの二週間。食事、ということに哲学的になりますね。ジョジョの奇妙な冒険の中に有名な台詞がありますよね。「お前は今までに食ったパンの枚数を覚えているのか?」ってヤツ。あれと似たようなことを考えましたね。あたしは一体今までに、家畜を何頭食い殺したのか? っていうか、今までにどれだけの他者の命を食い殺したのか? この命。というのは、野菜・穀物も含みます。
ヴィーガン? とかいう方がいらっしゃいますね。間違ってたら謝りますが、肉・魚・卵・乳製品を食べない、ハードコアなヴェジタリアン。うん、まあ確かに、他者の命を奪うのは良くないけども、動物の命は奪っちゃダメで、植物の命は食ってもいいのか? 
あたしの実家の回りに田圃がありまして。それこそガキの頃から、毎年すくすく育つ稲を見てたんですね。ああやって太陽に向かってすくすく育つ稲とかネギとかを見ると、植物の命を意識せざるを得ない、っていう。
そう考えると、他者の命を食わなければ生きていけないあたしって、そうとう穢れていますよね。そういうものを棚上げしてヴィーガンとか言われてもなあ。つってあなた方は何を食べているのですか? 豆腐? じゃああなたは命の結晶とも言える大豆を擂り潰し固めたものを食っているのですね? 大量殺戮(大豆を)してますなあ。と、嫌味を言ってしまいますね。
まあそうなるとあたしにできるのは、贖罪にはなりませんが、残さず、無駄にしない。って、これまたバカみたいなことしか無いわけで。若しくは餓死。ですからね。
それこそ今日ミートソース作りましたけど、セロリの葉っぱ部分も全部煮込んじゃいましたから。ちょうどいい塩梅ですね。

さて曲ですけども。小沢健二いきましょう。
小沢健二というと、「ブギー・バック」「ラヴリー」が収録されたアルバム「LIFE 」がセールスでは良かったんでしょうけど、この「球体の奏でる音楽」。このアルバムね。これも捨てがたいですね。小沢がジャズになってる! って話題になった作品ですが、この中から、えーと、、、よしこれにしましょう。
小沢健二で「大人になれば」。

はい。お聴きいただいたのは、小沢健二で「大人になれば」でした。
あのー。この曲ですけどね、ジャズ、、、かなぁ(笑)? 確かに記号としては、ジャズですね。ウッドベースアコースティックピアノ、軽めのパーカッションっていう。ガキの頃は、ジャズだなーって聴きましたけど。
それこそ大人になってこの曲聴くと、これは、、、歌謡曲ですね。ほら、ステーキ味のポテトチップス。みたいなもんでさ、ジャズ味の歌謡曲ですよこれは。でもそれだからダメとかじゃなくて、なんかちょうどいい塩梅。みたいな。
あーでも、小沢って今、なにやってるのかな。一時期は反グローバリゼーションの活動家みたいでしたけど。そういや終わる直前の「いいとも」のテレフォンに出てたなぁ。あれ唐突だったなぁ。

というところで今日はおしまい。おやすみなさい。