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「カコマチマサカー」についての覚え書き。

水主町。というエリアが、名古屋市にある。
詳しくはわからないのだが、堀川沿いの地域であり、字面をみる限り、川を使った物流の拠点のような場所だったのだろう。今でもその名残なのか、大きな倉庫が幾つか営業している。
大きな倉庫がある、ということは、そこで働く男たちもかなりの数いたことだろう。男の集まる場所には必然的に、春を売って生計を為す女たちが群がる。自然と連れ込み宿が現れ、現在ではラヴホテルが立ち並んでいる。
そして水主町の特筆すべき点は、日本のオカマカルチャーの発祥の地。とされている。というところに尽きる。所謂陰間。或いは花魁の如く着飾った少年たちも、やはり春を売っていたのだろうか。ビザールでフリークスなナイトライフ。LGBTに対しても寛容、というより寧ろそんなにタブーでもなんでもなかった、我が国の風俗史を理解する上で、重要なエリアである。


というのは、実はそんなに関係なかったりする。

「カコマチマサカー」というのは、あたしの頭のなかにしか存在しない歓楽街、「カコマチ」で営業している高級ナイトクラブである。イメージとしては、赤坂ニューラテンクォーターのようなものだ。躾の行き届いたボーイのサーヴィス、見目麗しく、教養溢れるホステスたち、ヌーヴェル・キュイジーヌ以降の、モダンなフレンチをベースに敷いたフード、凄腕のハコバンが提供する、ストレンジでクールな音楽。

フロアにはステージがあり、普段の営業ではバンドが演奏しているが、特別な客を集めた日には、悪趣味なショウも行われる。ハードなストリップ、公開SMショウ、血飛沫飛び散る残酷オペラ、等々。グロテスクとゴージャスの奇妙な混血を愉しむ、大人の下品な社交場。

それが、「カコマチマサカー」である。

因みにマサカー。というのは、伝説的ホラー映画「悪魔のいけにえ」の原題からいただいた。
テキサス・チェーンソー・マサカー。直訳すると、テキサス電気のこぎり虐殺。つまり「カコマチマサカー」は、「水主町虐殺」となるのだ。なかなかいいタイトルだな、と独りほくそ笑んでいる、今日この頃である。