殺戮女中の手口 第40回。

皆さん今晩わ。如何お過ごしでしょうか。今週から急に暖かくなり、もうそろそろモッズコートともお別れの季節でございます。モッズコートが無くなったら、どのようにドラゲナイすればいいのでしょうか。実際、セカオワについて語る言葉は、あたしは持ってないのですが。
それでは参りましょう、キリングメイド・デラックス。本日の一曲目は、ピチカート・ファイヴで「ベイビィ・ポータブル・ロック」。

改めまして今晩は。キリングメイド・デラックスです。えーとですね、あたしがよくふらふらしている場所が、ひとつがBOOK・OFFで、もうひとつがTSUTAYAなんですね。最近もう映画観るくらいしか、愉しいことがないからなんですけど。
あたしにとって映画は、ほぼほぼ脱法ハーヴに近いもので、現実の辛さからの逃避に他ならないんですけども。あー。でも夜な夜な2ちゃんに悪口書くよりか、健康的かもしれませんが。ふっふっふっふっふっふっふ(rinbjo風)。
Twitterには、今日のDVDって書いてますけども、こっちには書いてない作品もあるので、少し書いていってみましょう。映画供養ですね、要するに。

まずは先日借りてきたヤツの中から。
ツインピークス ローラ・パーマー最後の七日間」。デイヴィッド・リンチ監督の作品。
ツインピークスとは。もともとはアメリカで放送されたテレヴィシリーズで、制作総指揮が、「ブルー・ベルベット」「マルホランド・ドライヴ」等のカルト的作品で知られるデイヴィッド・リンチ。
カナダとの国境近くの田舎町、ツインピークス。そこである日発見された、ヴィニールで包まれた女の死体。そこからスタートして、田舎町の人間関係、どす黒い欲望、トンチンカンなお笑いがミックスされた、変態ドラマなんですが。
この映画は、女の死体であるところのローラ・パーマーが、殺されるまでの五日間(この作品の原題は、「Twin Peaks  fire walk with me」。日にちについての記述は無い)を描いた、壮絶かつ、極めて不快な暴露話。
父親による娘への性的虐待をシュールに描き、自ら地獄に嵌まっていく(コカイン中毒で、自殺のように売春し続ける)ローラは、おぞましくも美しく、最後殺されるその瞬間に、彼女のところに天使が救いをもたらす。という趣向。
確かに不快で、最後まで救いの無いストーリーで、正直気が滅入りました。が。あたしは好き。

サクサク行こう。続いては、ゴダールの商業映画復帰2作目の「パッション」。
商業映画復帰。とはドユコト? というと、ゴダールは、「パッション」の前作「勝手に逃げろ/人生」で商業映画界にカムバックするまで、「ジガ・ヴェルトフ集団」名義で共産主義的作品を撮っていて、労働者集会みたいなところで上映される映画を撮っていたのですよ。「万事快調」とかね。っていうか、ゴダールの年表とかは、蓮実重彦先生に聞いて下さい。あたし詳しくないから。
で、粗筋なんですけど。スイスのある街に映画のスタッフがやって来て、レンブラントやらゴヤやらの絵画を活人画として撮るのです。が、これがいまいち上手くいかない。
一方、街の工場では女工が資本家に楯突いたりしていて、映画監督と女工が恋に落ちたりする映画。だと思います。
なぜこんなにぼんやりした粗筋紹介かというと、ストーリーも追いかけられない位にジャンプカットが凄まじいから。このシーンとあのシーンがつながりそうでつながらなくて、そこに共産主義的なフレーズと、意味があるのか無いのかわからない哲学的フレーズ、さらにモーツァルトの音楽が乗っかって、ストーリーを追われることを予め拒否しているかのようです。もっと言ってしまうと、役者の口の動きと台詞が合ってないために、誰の台詞かさえ、わからない。
でも、そこがオシャレなんだよなあ。口パクと台詞のズレ、シーンに合ってないモーツァルト、そして、完成された色彩と構図。そのすべてがチャーミングなんですね。
因みに、あたしがいちばん気に入った台詞は、映画監督と女工が、今まさに結ばれるときに、監督が「初めてなのか?」と女に聞いて、それに対して女は一言、

「たぶん」

と答えます。これ以上に心を掻き乱される言葉を、あたしは知らない。



ここでお知らせ。今週末から、ヴェトナムのホーチミンに行くことになりました。
2週間くらいのお仕事です。それについてのレポートも、ここでアップしていきますのでよろしくお願いいたします(以上ほぼ嘘。名古屋を離れるのは本当)。

それでは、また次回。