ホーチミン市にミラーボールを。#2

さて、いつまで待ってもコーディネーターはおろか編集も現れず、いよいよ私は途方に暮れる。行ったことのない外国で単独行動に及ぶ勇気なぞ私にはない。それに、単独行動の結果、犯罪に巻き込まれて挙げ句の果てに四肢を生きたまま切断、なんかその辺に遺棄されて腐って死ぬ。という事態は避けたい。
というところに、編集のN女史は、ヴェトナム外務省のタンさん。という人物を伴って現れた。軽く遅刻をdisってから、ホテルに移動。ビックリするくらい都会であった。もっともスタバが在るくらいだから、当たり前なのだが。

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ホテルに到着。ペニンシュラのスイートルームだったので軽くひく。
「タイアップですから。あ、もちろん、この部屋のことも書いて下さいね」とN女史。
ええ、書きますとも。ウェルカムスイーツなのか、ドラゴンフルーツがあったのでいただく。とても美味しい。

本格的な取材は明日から。今日は流石に疲れていたので、ホテルのレストランでディナー。
ヴェトナムは長くフランス領だったので、フレンチが面白い。と聞いていたのだが、それは全く正しかった。前菜は野菜と海老のテリーヌ。メインに鴨のロースト。どれも美味しかった。いわゆるヌーヴェル・キュイジーヌだが、そこにアジアンのエッセンスをたっぷり振りかけた、どこでもないオリエンタル感。
デセールはパティシエの技術力を存分に味わえる一皿で、チョコレートブラウニーだったのだが、いちばん印象に残っているのがこれなのだから、我ながらどうかと思う。

食事を終えて、少し街を歩く。モードな建築と、それと真逆な屋台が渾然一体となっている。都市民族のバイタリティーが心地よい。タンさんに、この街にクラブはあるのか、と聞いたら、
「ハイ、ありますよ。良くない店も、多いです」とのこと。クラブと料理屋と売春宿、探せば阿片窟もあるかもしれないが、今回はダーティなルポルタージュを書くわけではないので、深くは聞かないことにした。