ホーチミン市にミラーボールを。#3

さてペニンシュラで迎える最初の朝。天気はいまいちの曇り空。なんだかなあ、と思いつつ起きると、自分が血まみれになっている。
ナニコレ? とびっくりするがすぐに思い直し、解答らしきものにたどり着く。昨晩、街を徘徊中にとある屋台でホビロン。というものを食べたのだ。ホビロンとは、まあ要するに孵りかけの家鴨の卵を茹でたもので、スプーンで殻を割ると、ひよこさんと目があって、ついつい挨拶してしまう。という、人間の業を感じずにはいられないもので。たしかに私も食べるのに躊躇した。しかし、だからと言って食べないのは家鴨のひよこの命に対して失礼だ。
おそるおそる、ひよこの頭の部分を食べた。したらこれがシャリシャリしてて美味しいんだから困る。調子に乗って五個ほど食べたら、タンさんに、「コレスゴく元気なるですよ。でもワカイコ、あまり食べないね」と言われた。なるほど日本でいうところの鼈とか、ああいう精力剤みたいなものなのだろう。

そして一晩経つと、興奮しすぎて鼻血ブーな訳だ。ベッドのシーツも血だらけ。なんかベッドメイクをしてくれるばばあに申し訳ない気持ちになり、チップを多めにする。

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取材期間は一週間を予定しており、ミラーボールを買うだけでは無く、ヴェトナムの街やらグルメやらも書かなくてはならない。見たものを書くのだから、楽なものだ(実際はそんなに楽ではなかったけど)。今日は屋台でフォーを食べて、アオザイの店に行き、フランス領だった頃の記憶も序でに探す。というスケジュール。
編集N女史は、朝からメイクがバッチリ決まっていて、見ているこっちはテンションが下がる。

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一応共産主義国家なのに、アメリカンなグラフティがある。やっぱりアメリカってすごい。

【つづく】