甘い拷問。第六回。虫を殺す。

「あまりにも暑いからさあ、かき氷しか食べたくないんだよ」
ああ、それで今日はアジア的なスイーツのオーダーだったのね。あたし詳しくないからさ、「糖朝」でいいだろ。って思っちゃった。
「いやいや、マンゴープリン旨いわ」
よかったわ。気に入って貰えたみたいで。たしか台湾の本店では、お粥も有名らしいよ。
「(黙々とマンゴープリンを貪る)」
なんにも聞いてねえな、あんた。

「ていうかさあ、なんか最近、戦前ぽくない? どうも空気が、嫌」
そうね。まあもっとも近現代史に於いては、いつでも戦前であり、戦後でもあるのですがね。戦争の合間に恋をしたりするわけだよ。
「ゴメンいまのキモい(笑)。いやね、あたしもそのうちさあ、こどもできることもあるかもじゃない? そうすると、あたしのこどもが、戦争行く可能性があるわけよね?」
そうね。
「だったら、こどもいらない」
そうなるわな。せっかく作った我が子が、よくわかんない理由で死ぬのは嫌な。
「だから男できないのかな?」
いや、それは違うから。
「違うの? 男はいつも生で」
黙れ! 下品にも程がある!

まあとにかく、こーいうご時世に観ておきたいのが、これ。「スターシップ・トゥルーパーズ」。ポール・バーホーヴェン監督の、宇宙戦争モノ。に見せかけた、右翼disりまくりの映画です。
「あ! あれでしょ! 虫がいっぱい出てきて大変! ってヤツ!」
うん。まあね。ちょうど、ゴキブリとアリを足したヤツを巨大化させたヤツが、若い兵隊をブッ殺しまくる映画です。
「ラスト近くに、クイーン? なんか偉いのが出てくるじゃない。アレってどう観ても、アレだよねえ」
巨大なまんこでしたね。エグいんだかバカなんだか。
「ストレートに言うなよ! セクハラ!」
でもね、落ち着いて観ると、あれはアメリカをバカにした映画なんですね。
設定としては、あの世界では市民権を得る為には、軍隊に入って闘わなくてはならないわけで。
これって、現代アメリカそのままですよ。ろくに仕事もないバカは、精々が海兵隊か殺人犯しかないのな。
「どっちも変わらない、、、」
うん。規律の中で殺すかどうかってだけ。さらに映画の中では女性も戦場に行きますね。男女雇用機会均等の中では当たり前だけど。
「で、キャンプでエッチしたりね」
濃いだろうなぁ、、、。んで、まさしく虫けらの如くガンガン殺されるわけで。
「なんか、嫌」
それでもちろん、前線で闘う兵隊には、どういう理由で闘ってるのか、よくわかんない。映画の途中で、劇中の政府が作ったプロガバンダのCMが出るけど、アレもそうとう胡散臭い。少なくとも、真実は伝えていない。
「なんか気分悪い。黙って」
って言われてもなあ。まあこうして観ると、イヤミしかないのよ、あの映画。

「そのうちAKBの皆も、戦争に協力するのかな?」
ないとは言えない。文化とか音楽は、戦争を止めることはできやしないよ。軍歌とか、従軍慰問として芸人が戦地に赴いたこともあるしね。
「そんなに戦争したけりゃさあ、安倍総理が一人でやればいいのに」
糸井重里のコピーだなあ。そういうのあったの。
「総理から前線へ」っていうのが。糸井本人は黙ってますけどね。黙っておくべきですけども。
「いまの状況で喋るとねー」
マズイ。変に祭り上げられたら、嫌でしょう。

「ていうか、堅くなったね。今回は」
うん。取り敢えず、あの安倍とかいうのは、早めに辞めてくんないかなーって。
「んで、虫に」
虫に腰からバッサリと。
「エグいなあ(笑)」